日本海溝沿いなど太平洋沖を震源とする地震と津波で甚大な被害が想定される中、青森県は全県での合同避難訓練を初めて実施する。避難意識の向上を図り、一部地域が被災した際の全県での応援態勢を確認する。早期の復旧に欠かせない災害ごみ処理の迅速化に向け、仮置き場の設置・運営訓練にも取り組む。
県は2022年、想定される最大規模の地震と津波による死者数は最大5万3千人に上ると公表。一方、早期の避難で死者は7割程度減らせるとしている。
訓練は宮下宗一郎知事が知事選の公約で掲げた。県と市町村が一斉に訓練を開始し、情報伝達の流れを確かめる。津波浸水が想定される22市町村では実際に住民が避難する。訓練とは別に市町村の担当者を集めた防災対策検討会議も開く。
宮下知事は会見で「(海溝型地震で)被災していない市町村があれば、すぐに応援に回らなければならない。そのためには全県で態勢を構築する必要がある」と強調した。
能登半島地震を踏まえ、県は自衛隊など全国からの応援部隊の受け入れ態勢、備蓄の内容を再検討する事業も進める。訓練を含めた一連の事業には3453万円を盛った。
津波や大雨では、がれきや使えなくなった家財といった災害ごみが復旧活動の障害となり、仮置き場を早期かつ効率的に配置する必要がある。県は廃棄物処理業者と連携して県内3カ所で全市町村が参加する設置・運営訓練を実施し、マニュアルも作成する。関連経費は313万円。
円滑な災害ごみの広域処理に向け、県内の処理施設のリスト作成にも着手する。アンケートと現地調査で公立60施設、民間300施設の処理能力や受け入れの可否をリスト化し、市町村と情報共有する。