【震災14年】久慈市、防災士養成に力 今後2年で100人増目指す

【震災14年】久慈市、防災士養成に力 今後2年で100人増目指す

 災害に強い地域づくりに向け、久慈市が「防災士」の養成に力を入れている。最大クラスの地震津波想定で岩手県内最多の犠牲者が見込まれていることなどを背景に、市が資格取得費用を負担して誕生した防災士は、ここ3年間で約150人。個人負担などでの取得者を含めれば約200人に上る。市は「“防災リーダー”として各集落に複数いる形が理想」として、今後2年間でさらに100人を養成する方針。並行して、先月から資格取得者のネットワーク構築にも乗り出した。

 同市は岩手県が22年に公表した最大クラスの地震・津波被害想定で、死者数が4400人に上るとされる。久慈川、長内川と大きな河川が流れ、近年は2016年の台風10号や19年の台風19号などで甚大な浸水被害も発生。ハード面だけでなく、住民の意識啓発につながるソフト面の防災対策も急務となっている。

 市が住民の自助、共助の意識を高めようと、自主防災組織の組織化とともに進めているのが、日本防災士機構の民間資格「防災士」の養成だ。

 避難・避難行動、災害医療と心のケア、避難所設置・運営協力など機構が定めたカリキュラムを履修し、災害への備えや対策に関する知識、技能を高めて試験に挑む。認証登録者数は今年1月現在で八戸市629人、盛岡市531人となっており、人口比で見ると久慈市は多い。

 久慈市の養成講座は東北福祉大などと連携し、22年度に本格スタート。市が年間50人について、受講料や受験・登録などの費用を全額負担する形で毎年実施してきた。各集落の自主防災会メンバーや市職員、高校生らが受講。本年度の試験は昨年11月に行われ、約50人が合格した。

 防災士同士の連携を深め、防災知識を生かした活動や知識・技術の研さんにつなげていこうと、先月には資格取得者を対象とした「市防災士ネットワーク」も立ち上げた。LINE(ライン)でつながり、活動に関する事案の共有、情報交換を進めていく方向だ。

 市防災危機管理課の工藤健二課長は「防災士が連携して活動してもらえれば、市全体の防災力向上が期待できる」と話した。集落ごとに複数人を確保する目標達成に向けては、「防災士が不在の集落の人に、今後、取得を促すことなどを検討したい」としている。

【写真説明】

災害に強い地域に向けて久慈市で進む防災士の養成。先月には防災士の連携強化へネットワークのキックオフセミナーが行われた=2月22日、久慈市
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