岩手県立大野高(千葉美春校長)は17日、洋野町の特別養護老人ホーム・デイサービスセンター「久慈平荘」(野田信雄施設長)と合同で、同施設などで防災避難訓練を行った。全校生徒参加し、施設スタッフや消防署員の指導を受けながら、入所・利用する高齢者の避難誘導や救命救急処置を体験し、緊急時の対応を学んだ。
災害時の相互協力体制を築くため、2017年から不定期に実施している。コロナ禍を経て5年ぶりとなる今回は、震度6の地震により校舎周辺で土砂崩れの恐れが発生し、約1・2キロ先の大野体育館駐車場へ避難したところ、近くの久慈平荘からも出火したため救援を求められた―と想定して訓練を行った。
生徒たちは、避難が難しい高齢者をベッドや車いすに載せての搬送避難、人工呼吸と自動体外式除細動器(AED)の使用手順、消火栓とホースのつなぎ方と放水など、実践的な防災活動を体験。避難誘導では、車いす利用者に安全な補助を教わり、生徒同士で乗り合いながら凹凸のある道の乗り心地を確認したり、複数人で持ち上げて大きな段差を移動したりと、協力の大切さを実感した。
3年林郷善瞳(よしひと)さんは「視覚や体の不自由なお年寄りが安全に避難できるよう、声がけが重要になることが印象的だった。いざという時には命を守るため、高校生みんなで助けたい」と意欲。野田施設長は「時期や時間帯によっては、施設スタッフも手薄になる。訓練の経験を持つ若い力が近くにいれば、こんなに心強いことはない」と感謝した。
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