日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定を加えた八戸市津波避難計画を受け、市は16日、馬淵川を遡上(そじょう)してくる津波によって徒歩避難が困難となる地域を解消するため、下長地区に津波避難施設2カ所を新設する方針を明らかにした。規模や高さなど、具体的な施設形態は今後検討する。
同日、市立下長公民館で行われた地区説明会で、市が関係者に説明した。
市が実際の避難路や居住実態などの精査を行った結果、同地区では長苗代1丁目や長苗代内舟渡、石堂3丁目などを含む馬淵川沿いの一部が、津波発生から毎秒0・5メートルで逃げた場合、浸水域の外まで到達できない避難困難地域となった。
この地域で想定される津波は最大8~9メートル。車で逃げたとしても内陸部まで距離があり、渋滞に巻き込まれる可能性もあることから、市は川沿いに避難施設の整備が必要とした。
このほか、人口密集地で逃げ遅れのないよう、市立下長小と城北小の間にも新たに避難施設を計画していると説明した。高館小や卸センター近くには、避難路を設置する考えだ。
同地区の津波避難を巡っては、下長、河原木団地、高館の3地区の連合町内会と、下長公民館協力会が2022年11月、市に対して、緊急避難タワーの整備などを求めていた。
説明会で市の方針を確認した高館地区連合町内会の守田日出夫会長は、「要望した通りの案となり、ほっとした。早く進めてほしい」と求めた。
避難施設の具体案については、市が年度末に公表予定の「津波避難施設の整備等に関する基本方針」に盛り込む。
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