30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震があった。地震の規模はマグニチュード8・7(推定)で、気象庁は太平洋側を中心に津波警報と津波注意報を出した。午後に久慈港で1・3メートル、八戸港で80センチの津波を観測し、北海道から沖縄にかけ22都道府県に到達。警報発表後には、八戸港から漁船が次々と「沖出し」して沖合へ退避する光景が見られた。
(7月31日の紙面から)
Q 青森県内では東日本大震災以来の津波警報の発表だった。
A 沿岸部を中心に13市町村で避難指示が出された。対象は1万2355世帯の3万5793人で、31日午前6時までに約7%に当たる最大2637人が避難したよ。
津波警報、津波注意報は31日午後4時半までに全て解除された。県は災害対策本部を廃止し、各市町村が設置していた避難所も閉鎖。人的、物的被害は確認されていないが、列車の運休が相次ぐなど交通機関が大幅に乱れた。
Q 避難対応はうまくできたの。
A 避難指示の対象地域に立地する大型商業施設やスーパー、金融機関、工場などは、従業員や買い物客の安全確保のため、人命第一に避難や臨時休業などの対応に追われた。
盛漁期の八戸港では中型イカ釣り船の水揚げ作業が進められ、大中型巻き網船による漁獲物の販売なども予定されていたが、緊急事態を受けて中止。八戸市魚市場で働く人は避難し、多くの漁船は港から沖合へ退避した。
Q 震災の教訓は生かされているのかな。
A 各地の避難所には多くの住民が身を寄せた。「津波の時はすぐに避難」と気を引き締めていたよ。三沢市の沿岸部にある三川目保育園は、震災を機に作ったマニュアルを実践。0~5歳児22人と職員10人が、職員の車に分乗して移動し、避難した。
Q 猛暑の中で長時間の避難となった。
A 岩手県など全国では避難中に熱中症の疑いで11人が救急搬送された。暑い体育館や屋外の高台に身を寄せた高齢者らを急きょ、空調設備の整った施設に再び移動した自治体もあったようだ。
災害はいつ発生するか分からない。今回浮き彫りになった課題を踏まえ、真夏の避難対策についても改めて考えたいね。
【写真説明】
付近住民が避難した八戸市の湊公民館=7月30日午前11時10分ごろ