青森県は15日、大地震発生時に身の安全を守る「シェイクアウト」訓練を県内一斉に行った。三沢市など沿岸14市町村では津波襲来を想定し、住民が徒歩で内陸や高台へ避難。情報伝達訓練には全40市町村と関係機関が参加し、被害状況の伝達方法や通信環境に不備がないかなど、県と市町村間での連携を確認した。
県は2022年、想定される最大規模の地震と津波による死者数は最大5万3千人に上ると公表。一方、早期の避難で死者数は7割程度減らせるとしている。
県内一斉の訓練は、宮下宗一郎知事が昨年の知事選で公約に掲げ、「あおもり防災ウイーク」(5~24日)の一環で初めて実施。今回は日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震が発生し、県内で最大震度6強を観測、太平洋沿岸に大津波警報が発令された―との想定で行った。
津波の浸水想定区域に立地する三沢市北部の市立第三中では、宮下知事による県民対話集会「#あおばな」が開始した直後の午前9時、緊急地震速報が出されて訓練がスタート。修学旅行中の2年生を除く1、3年生約20人が、机の下に潜って身の安全を図った。
その後、学校から内陸方向の約4キロ先にある「道の駅みさわ」を目指して徒歩で避難を開始。宮下知事も一緒に歩いて参加した。道の駅では周辺の町内会などが避難者の受け入れ態勢の確認や炊き出しを行った。
同校3年の田中奏輔さん(14)は「日ごろから地域との協力や備えが重要。災害が起こっても冷静に行動したい」と話していた。
野辺地町では、県の訓練に合わせて総合防災訓練を実施。町立体育館では、自衛隊によるカレーの炊き出しや消防署員による応急手当訓練などを行い、住民約30人が災害に備えた。
訓練後に取材に応じた宮下知事は「災害はいつ起こるか分からない。今回の訓練状況を把握し、課題を整理して今後に生かしていく」と述べた。
【写真説明】
消防署員から心臓マッサージの指導を受ける住民=15日、野辺地町立体育館