【震災13年・備える】福祉支援DCAT、高まる需要 青森県内の人材確保課題

【震災13年・備える】福祉支援DCAT、高まる需要 青森県内の人材確保課題

 大規模災害の被災地では、長引く避難生活で身体機能が低下したり、持病が悪化したりして死に至る「災害関連死」を防ぐため、福祉的な支援の需要が高まっている。1月に発生した能登半島地震の被災地でも福祉専門職でつくる災害福祉支援チーム(DCAT)が活動を展開している。一方、DCATの認知度はまだ低く、青森県内でも登録者数が伸び悩んでいるのが現状。年々、災害が激甚化し、出動件数の増加も懸念される中、いかに人材を確保していくかが課題となる。

 DCATは社会福祉士や介護福祉士、保育士など福祉専門職でつくる支援チーム。東日本大震災を機に全国で創設が進み、都道府県によっては「DWAT」とも呼ばれている。

 青森県内では震災後にDCATを創設する動きが加速し、2016年10月にチームの派遣調整を行う「県災害福祉広域支援ネットワーク協議会」を設置。能登半島地震のほか、18年には西日本豪雨で甚大な被害があった岡山県に派遣を行っている。

 ネットワーク協議会の事務局を務める県社会福祉協議会地域福祉課によると、23年12月現在の登録数は県内64法人の137人。ただ、法人によっては人員に余裕がなく、長期間の派遣要請に応じられないケースが多いという。能登半島地震でも実際に活動したのは1回目の石川県七尾市が17人、2回目の志賀町が11人で、いずれもほぼ同じメンバーが派遣されているのが実態だ。

 出動機会が少なく、実践経験を積みにくいことも登録者のモチベーション低下につながっているといい、當麻千佐課長は「経験者を増やしたいが、現状はなかなか厳しい」と、人材確保や育成の難しさを吐露する。

 課題は人員確保だけにとどまらない。被災地の市町村の職員がDCATの支援の受け入れ方が分からず、現場で混乱したケースもあった。今回の県の派遣先の七尾市でも職員への説明に追われる場面もあったという。

 県社協によると、青森県内の市町村も同様にDCATが浸透しておらず、現状のままでは災害発生時に受け入れ体制がスムーズに整わない可能性が高い。

 県社協では、23年度から市町村担当者向けの出前講座を実施しているほか、市町村の防災訓練にDCATとして参加し、地域とのつながりを密にするなどの対応を検討しているという。

 當麻課長は「能登半島地震で改めて防災意識が高まった。派遣経験も踏まえながら、市町村や福祉関係者向けの研修内容を見直すなど今後の活動につなげたい」と強調する。

【写真説明】

活動内容についてミーティングを行うDCATのメンバー=1月、石川県七尾市(青森県社協提供)

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