巨大地震津波の想定で岩手県内最多の犠牲者が見込まれている久慈市が、市津波避難計画で設定した避難目標地点を周知する標識の設置を進めている。標識は避難場所への距離とともに、「津波浸水想定 ここまで」など外国人でも分かりやすい日本語を使っているのが特徴。市担当者は「有事の迅速な避難につなげてほしい」と話している。
巨大地震津波の想定で、同市は最大4400人の犠牲者が見込まれており、どれだけゼロに近づけられるかが課題となっている。
市は昨年秋に改定した津波避難計画で、地震発生後、指定緊急避難場所までの移動が時間的に難しいケースに備えて、93カ所の「避難目標地点」を設定した。最大想定の津波でも命だけは助かる目安となり、大半が避難場所に至るルートの浸水想定区域外に設けた。
各地点には、市が地元町内会や自主防災会などと協議した上で、4月16日から標識の設置を進めている。標識は縦85センチ、横30センチのステンレス鋼板製。日本語だけでなく、市内の外国語指導助手(ALT)らの協力を得て、英語でも併記した。夜間避難も想定して蓄光標識となっている。市は今年秋の津波避難訓練までに標識設置を終える方針。事業費は約1400万円。
【写真説明】
津波浸水想定区域外に設けた「避難目標地点」を案内する標識=19日、久慈市