八戸市は14日、災害発生時に活用するため本年度導入した、自走式の水洗トイレカー3台を公開した。排気量650ccの車両1台に、洋式トイレの個室2室を搭載。断水時も利用可能で、災害が発生した際に懸念されるトイレ不足や衛生面の課題に対応する。トイレカーの導入は、青森県内の自治体で初めて。
災害時のトイレを巡っては、昨年1月に発生した能登半島地震の被災地で、断水によりトイレの水を流すことが難しくなり、避難所の衛生環境が悪化するなどの課題が浮上した。
トイレカーは、個室への出入り口を車体の左右に分離。室内には温水洗浄便座付きトイレと手洗い場があり、換気扇も付いている。貯水タンクと便槽タンクを備え、使用回数は車1台につき70~110回程度。車上部に太陽光発電機能があり、水洗設備をヒーターで温めながら使用できる寒冷地仕様となっている。
市はトイレカーの愛称を市内小中学生から募集し、「アシサシ号」「いかすトイレ号」「アヤーレ・エボシ号」と命名。導入費用は3台で計約2500万円。男女の別は現場の状況に応じて対応する。
同市のはっちで開かれたお披露目式で、熊谷雄一市長は「他の自治体の災害時にも派遣して積極的に支援する。イベントなどで展示し、市民の防災意識の普及啓発にも役立てたい」と述べた。
参加した柏崎地区連合町内会自主防災会の吉田博進副会長(70)は、「能登半島地震でトイレが大変だったというニュースを見ていた。市は前向きに考え、良い買い物をした」と話した。
トイレカーは市の清掃事務所に保管する。
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