最大クラスの津波が八戸市内を襲う事態を想定し、八戸警察署(鎌田行剛署長)は30日、八戸商工会議所が所有する八戸商工会館を代替施設として、災害対策本部機能を移転させる訓練を実施した。大規模災害時にも変わることなく治安維持能力を発揮するため、署員が対応を確認した。
津波ハザードマップで、城下地区は最大で5~10メートルの津波が到達すると見込まれる。10メートルなら署は3階部分まで浸水し、拠点としての機能を失う。
最悪の事態に備えて署は3月、海抜約18メートルで浸水想定区域外にある会館の4階大会議室を活用する協定を八戸商議所と締結。市庁別館前の市民広場も駐車スペースとして確保した。
全署員約300人を対象とした今回の訓練は、午前6時に八戸周辺で震度6強の地震が発生し、非常招集中に大津波警報が発令されたと想定。署近くに住む署員が、警察車両約30台を広場まで移動した後、資機材を会館へ運び込んだ。また、一部の署員は売市や階上などの交番に参集した。
移転に要した時間は約40分で、見込んでいた時間より短かった。鎌田署長は会館では初回となる訓練の狙いについて、資機材やパトカーを限られた時間でどれくらい運べるかの確認―と説明。その上で「流れが滞っていた部分もある。より効率的に行うため、議論を積み重ねていく」と強調した。署は本年度中に訓練を複数回行う予定としている。
【写真説明】
代替施設に資機材を運び入れた後、情報共有する署員=30日、八戸商工会館4階大会議室