地震による大津波から命を守るため、八戸市立江陽小(笹川力校長)は1日、市と津波避難ビルとしての協定を結ぶ同市江陽2丁目のショッピングセンター(SC)「ラピア」を活用した避難訓練を初めて実施した。全校児童190人が学校からラピアまで約1キロを歩き、避難経路や屋上に逃げるための手順を確認しながら防災意識を高めた。
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を踏まえた新たな津波浸水想定で、市内の避難対象地域や避難困難地域が拡大したことを受け、市は津波避難計画を改定。公共施設に限らず、民間施設を含めた津波避難ビルの指定を進めており、昨年、同SCとも協定を結んだ。
津波発生時には、立体駐車場のM3階(高さ13・6メートル)と、屋上(同17・2メートル)が避難場所となる。受け入れ人数は約1万人。
同校はこれまで柏崎公民館を避難場所にしていたが、移動距離の長さや収容人数の少なさから新たな避難先を検討していたという。同SCと市の協定が結ばれたことでこれらの課題がクリアされ、2月に新たな避難場所に正式決定した。
同SCによると、津波避難ビルの指定以降、外部からの避難訓練を受け入れるのは今回が初めて。この日は市内で地震観測後に大津波警報が発令された―という想定で実施。児童は教員らの誘導に従って移動し、ファンタジードーム中央入口からラピアに入館すると、施設内の階段を利用して屋上に到着。大津波発生時の対応を確認した。
5年の木村悟大君(10)は「屋上まで階段で移動するのが大変だった。避難の際は足元や周囲に気を配り、安全に避難できるようにしたい」と備えの重要性を実感した様子。石井一二三教頭は「移動距離の短さや収容人数の多さ、地上からの高さを見ても、避難先に適している。柏崎公民館よりも児童の安全を確保しやすい」と話していた。
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