【本社報道部・田村祐子】地域の防災力強化を目指し、八戸市で4~7月にかけて行われた一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと(青森市、小山内世喜子代表理事)主催の「女性防災リーダー育成プログラム」。青森県南地域を中心とする卒業生32人は学びを生かし、地域や学校で防災訓練を開くなど、積極的な活動を展開している。活躍の一端を紹介したい。
12月上旬、八戸市立第三中学校の体育館で、2年生の生徒と保護者ら約80人が、授業参観日に合わせて避難所運営訓練を行った。同校とみらいねっとの共催で、参加者は「総務・情報班」「施設管理班」など7グループに分かれ、情報掲示板や居住スペースなどの設営に取り組んだ。
簡易テントや段ボールベッド、毛布といった、必要な物資は準備するが、どこに何を設置するかは参加者が話し合って決める。生徒たちは「ごみ箱は人がよく通る場所に置こう」「プライバシーが守れるよう、居住スペースに目隠しがあった方がいいね」などと、活発に意見を出し合いながら設営に当たった。
避難生活が少しでも明るくなるよう、掲示板に星座占いコーナーを設けたり、高齢者の安全を考慮してベッド脇にマットを敷いたりと、それぞれの班が工夫を凝らした。生徒からは終了後、「参加する前は不安だったが、実際にできたことで自信がついた」「いざという時は私たちが中心となって地域の人を支えたい」などと、頼もしい感想が聞かれた。
中心となって企画したのは、同校生徒の保護者でもある田中ひとみさん(49)と阿部博美さん(51)。2人共リーダー研修で一緒に学んだ仲間で、記者もボランティアとして参加した。初めて開催したイベントを振り返り、田中さんは「中学生の固定観念のない斬新なアイデアに感心した。来年度以降も続けていきたい」と手応えを語った。
リーダー研修の卒業生は、通信アプリLINE(ライン)内のグループに参加し、情報交換している。各地で実施した防災訓練や講演会の様子が写真入りで次々と共有され、メンバーの良い刺激となっている。
同期生の活躍に負けじと、記者も会社に防災拠点としての機能強化を提案した。将来的には地域と協力して防災訓練を実施できれば、と考えている。知識や技術を学ぶだけで終わらせず行動に移し、防災の“種”をまき続けたい。
【写真説明】