【体験記・防災に女性目線を】奥が深い「話し合い」 リーダーに必須のスキル

【体験記・防災に女性目線を】奥が深い「話し合い」 リーダーに必須のスキル

 八戸市で開催中の「女性防災リーダー育成プログラム」(一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと主催)では、日常生活でも役立つノウハウが身に付くプログラムが用意されている。4月下旬の講座では、リーダーとして必要な話し合いのスキルを学んだ。

 講師は、仙台市在住でまちづくりアドバイザーなどを務める遠藤智栄さん。「避難所では誰かと話し合わないと先に進めない。話し合いの場をつくったり進行役を務めたりすることが地域をより良くし、被災状況を軽減することにつながる」と、コミュニケーションの大切さを訴えた。

 一口に話し合いといっても、▽傾聴▽会話▽対話▽議論―などの種類がある。傾聴は相手の話に集中して耳を傾けることで、「自分の意見を挟んだり質問したりせずに聞くことで信頼が生まれる」とのこと。小学生の息子にガミガミと説教してしまったことを思い返し、耳が痛い。

 会話で相手の個性や価値観を知り、対話で相互理解を図るなど、本題に入る前に信頼関係を築く大切さも強調。いざ会議となっても「勝手に決められた」と不満を持つ人が出ないよう、まずは井戸端会議的な“決めない会議”の場を設けることが必要だという。

 話し合いの促進役はファシリテーターと呼ばれ、中立的な振る舞いや参加者の観察、段取りの工夫などが求められる。遠藤さんが提案するのは(1)関係づくり(2)場づくり(3)道筋づくり(4)行動づくり―の4ステップ。会議の前に手順を設計することが大切で、出された意見やアイデアを見える化すると、論点を整理しやすくなるそうだ。

 一人が長く話したり、発言を否定したりすることを防ぐには、事前のルール設定が有効。発言が少ない時は座席のレイアウトを変えたり少人数のグループにしたりと、実践的なアドバイスもあった。

 話し合いの演習では避難所の困り事を想定し、グループごとに意見を出し合った。記者もファシリテーター役を体験し、どう問いかけたら意見が出やすいのか、頭を悩ませた。「トイレで困っていることはありませんか」「夜は眠れていますか」などと場面に分けて発言を促したが、かえって意見を限定してしまったのではないか、との反省点も残った。

 さまざまな意見を集約したり擦り合わせたりする場面は、職場や地域、家庭でもある。普段から意識して視野を広く持ち、問題解決につなげられる力を養いたい。

【写真説明】

話し合いを円滑に進める方法を学ぶ受講者ら=4月下旬、八戸市内
記事一覧に戻る