下長公民館を津波避難ビルに 八戸市が建て替え方針案

下長公民館を津波避難ビルに 八戸市が建て替え方針案

 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に備え、八戸市は20日、津波避難施設の整備などに関する基本方針案を明らかにした。徒歩での避難が困難となる地域の解消に向け、根岸、下長両地区では、市立下長公民館を「津波避難ビル」として建て替えるほか、馬淵川沿いに「津波避難タワー」を1棟ずつ新設し、避難路も整備。大館地区では、被災地域からの避難者受け入れを想定した初めての施設として、市立大館公民館の建て替えを進める意向だ。概算整備費は137億6400万円を見込む。

 同日の市議会総務協議会で報告した。

 下長地区では既存の避難ビルの受け入れ容量を超える避難者が想定されるため、下長公民館を3階建ての避難ビル(概算事業費8億5200万円)として建て替える。収容人数は840人程度を見込む。

 馬淵川沿いに340人程度を収容できる避難タワー(5億2300万円)を新設。避難路は高館地区に至る都市計画道路の未整備区間の整備(63億2400万円)、上長地区方面に向かう陸橋の拡幅整備(50億6700万円)を盛り込んだ。

 根岸地区では、馬淵川沿いに収容人数120人程度の避難タワー(3億4100万円)を整備。東側の住宅地から高台へ向かう避難路(5500万円)には歩行者用の階段を設置する。

 大館公民館は南類家、田向地区をはじめ、ほかの被災地域から避難者の積極的な受け入れを想定。市内の公民館で最も古く、整備優先度も高いことから、2階建ての避難施設(6億200万円)として避難スペースを増設するなど整備を進める。

 一方、自動車避難のルールは▽対象者は避難行動要支援者や市川地区などの歩行困難者▽避難先はより遠く、より標高の高い地域を目指す▽国道や県道、主要な市道を利用し、橋の横断や踏切の通行を避ける―などとした。

 市危機管理課は取材に対し、「市内の浸水エリアの全員が助かる方法を考えた結果」と説明した。

 市はパブリックコメント(意見公募)を経て、3月下旬をめどに基本方針を策定。整備時期は未定だが、経費について国の補助率が引き上げられる津波避難対策緊急事業計画を2025年度中に作成する。施設の規模などは、今後変更となる可能性がある。

 基本方針案に関するパブリックコメントは3月6日まで。

【写真説明】

津波避難施設・避難路の整備案(根岸、下長地区)
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