一時避難施設を住民公開 要配慮者向け、PAZ内/東通村

一時避難施設を住民公開 要配慮者向け、PAZ内/東通村

 東通村は14日、原発事故時に早期避難の難しい要配慮者が一時避難するため、同村白糠の老部地区に整備した放射線防護対策施設を住民に公開した。原発から5キロ圏内の予防防護措置区域(PAZ)内に当該施設を整備するのは初めて。特殊なフィルターで被ばくを防ぎ、地区内の要配慮者とその介助者約60人が屋内退避を3日間できる備蓄や非常用発電機などを備える。

 施設は、東北電力東通原発1号機から北に約3キロの場所に整備。放射線防護対策を施した建物は民間も含め村内に6カ所あるが、放射線防護に特化した施設は初めて。

 PAZ内は、事故時に即時避難が原則だが、避難に準備が必要な要配慮者は施設に一時退避し、準備が整い次第、青森市の指定避難所へ向かう。同じくPAZの小田野沢と白糠の両地区にも整備したい考えだが、見通しは立っていない。

 施設は鉄筋コンクリート造り3階建てで、事業費は5億3381万円。1階にベッド10床の避難室、2階には42人収容可能な避難室のほか、授乳室や備蓄室などを配置した。3階には放射性物質を取り除いた外気を建物内に送り、気圧を高めるフィルターユニットや非常用発電機を設置する。

 施設を見学した女性会社員(47)は「地区にこのような施設ができたことは安心材料になる。しかし、道路が1本しかないので、本当に避難できるのか心配だ」と話した。

 村は今後、施設で訓練を行うなどして、万が一の事態に備える考え。

【写真説明】

原発から5キロ圏内に初めて整備された老部地区放射線防護対策施設=14日、東通村
記事一覧に戻る