【震災13年・備える】発災の日、物資は足りるのか 備蓄の確保、課題多く

【震災13年・備える】発災の日、物資は足りるのか 備蓄の確保、課題多く

 元日に発生した能登半島地震は、物資の備蓄が大きな課題となった。行政の想定を越えた避難者に、備蓄物資が早い段階でなくなった自治体もあり、想定の甘さを批判する声も上がった。11日、発生から13年となった東日本大震災。その経験も踏まえ、青森、岩手両県でも災害備蓄指針を設定し、各市町村と共に計画的な備蓄を進めるが、必要相当数の確保には課題が多いのも事実だ。国民1人当たりに求められる備蓄量は「最低3日間、推奨1週間分」。行政と県民、双方で備蓄への対応が求められている。

 能登半島地震では、帰省・観光客の影響もあり、行政の想定を越えた避難者に対して物資が不足した。道路が寸断され、「陸の孤島」と化したことで県外からの物資搬入も難航。酷寒の避難所生活では必需品の毛布類も足りず、断水も長期化する中で不衛生なトイレが問題視された。大人、子ども用おむつや生理用品など使用者が限られる物資は、必要数を再考する機会にもなった。

 青森、岩手両県は災害備蓄指針で、それぞれ避難者数に対する目標備蓄数を示している。

 青森県は「太平洋側海溝型地震(冬の午後6時発生、発災1日後)」での想定避難者数約31万1千人を目標値に設定。県民の備蓄物資が被災によって1日分(3分の1)程度しか使用できなくなる―と想定し、補完的に市町村が3分の1、県が3分の1の必要数確保を目標とする。

 想定について、県防災危機管理課は「最悪、最大のシナリオで設定しており、掲げる目標値としては大きく、一気にそろえるのは難しい」との認識。段階的に数量を増やすほか、地域外からの支援物資の受け入れ態勢の再検討も見据える。

 岩手県は、東日本大震災の避難者数のピークである2011年3月13日の5万4429人を基準に、想定人数を5万5千人に設定。市町村と県の合算で必要数の確保を目指す。県防災課は「市町村の備蓄物資は増加傾向にあり、県による補完は少なく済むようになってきた」とうなずく。

 一方、各市町村では、必要相当数の備蓄確保は難航しており、「大規模災害時に不足する懸念がある」とする声もある。

 八戸市では、食料や飲料水などほとんどの備蓄が必要数に届いていないが、物資の保管場所の確保も整備上の課題となっている。

 市災害対策課によると、備蓄品は各避難所や市内4カ所の防災倉庫に保管しているが、倉庫の空きスペースはわずかで「相当大きな建物でなければ目標数の保管は難しい」。民間業者との協定締結による、流通備蓄での補完も進める。

 同課の野沢遼主事は、家庭の状況やアレルギーの有無など、個人の事情も考慮した上で「避難生活で自分を守るため、備蓄について自分事として捉えてほしい」と家庭内での再点検を呼びかける。

【写真説明】

八戸市の防災倉庫。空きスペースはわずかで、保管場所の確保は課題の一つだ=8日
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