【震災13年・備える】「根拠不明」には加担しないで 有識者が解説/災害時のSNS

【震災13年・備える】「根拠不明」には加担しないで 有識者が解説/災害時のSNS

根拠不明の偽情報やデマが拡散される恐れがあれば、役立つケースもある災害時の交流サイト(SNS)の活用。能登半島地震で改めて浮き彫りとなった課題を今後の備えにどう生かせばいいのか。兵庫県立大環境人間学部の木村玲欧教授(防災心理学)は、個人のリテラシーの向上や、行政などの広報活動、デマを打ち消す体制づくりを行うことの重要性を挙げた。

 木村教授は「オレオレ詐欺」を例に挙げ、事例を知っておくことで「もしかしたら」と対処できることがあると説明。災害時のデマも同様に過去の教訓から、▽災害時にデマは必ず発生する▽時間経過と共にデマの内容が変化する▽ファクトチェックを行い情報の裏を取ることが大切―などを知っておく重要性を強調した。

 巧妙に作られているデマは見分けることが困難という。善意で情報を拡散させることで、消防や警察、自衛隊の災害対応を遅らせてしまう可能性があることを十分に理解し、「根拠が分からない情報の拡散には絶対に加担しないという判断をすることが重要だ」と指摘する。

 ただ、個人の対策には限界があるため、「各機関の災害対応が阻害されることがないようにするためにも、日頃からの啓発活動が必要となってくるのではないか」と語る。その上で「行政、マスコミ、警察、消防などが協力しながら情報を一元化して公表し、デマを打ち消すような仕組みづくりも重要となる」と提言した。

【写真説明】
木村玲欧教授(本人提供)
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