【震度5弱】未明の突き上げる揺れ、震災よぎる 北奥羽住民、防災意識新たに

【震度5弱】未明の突き上げる揺れ、震災よぎる 北奥羽住民、防災意識新たに

 2日未明の北奥羽地方を襲った震度5弱の地震。各地で施設の破損や水道管の漏水などの被害が出たほか、鉄道の運休も発生し、新年度が始まったばかりの市民生活に影響を及ぼした。突き上げるような揺れに東日本大震災や能登半島地震を思い起こす人もおり、住民は改めて備えの大切さを痛感した様子だった。

 震源に近かった久慈市中心部のコンビニでは、棚から瓶類が落下する被害があり、片付けに当たった店員は「大変だった。店内は若干、アルコールのにおいがする」と振り返る。

 同市の遠藤譲一市長は定例会見で、「地震アラーム(緊急地震速報)が鳴る前に大きな揺れが始まり、長く続いた。体感としてはすごい揺れで、その割に人的被害がなくてホッとした」と話した。

 1日に津波災害などを乗り越えての全通40周年を祝ったばかりの三陸鉄道久慈駅。午前5時過ぎの上り始発列車を前に、運転見合わせの紙が職員によって貼り出された。

 五戸町下大町の金物店では棚から幾つかの商品が落ち、店主の80代男性は「一気に突き上げるような揺れだった。商品への影響が少なくて良かったが、余震が心配だ」と不安そうに語った。

 JR八戸線は午前8時ごろまで運休となり、戸惑う利用客の姿も見られた。八戸駅から同路線で本八戸駅に向かい、フェリー埠頭(ふとう)行きのバスに乗る予定だった札幌市の男子大学生(21)は「鉄道が使えないのでタクシーで行くしかない。地震だから仕方ないが…」と歩みを速めた。

 本八戸駅でも春休み中に部活動に向かう高校生が列車に乗れず、宿題などをしながら運行再開を待っていた。

 大きな揺れに、東日本大震災で甚大な被害をもたらした津波が脳裏をよぎった人も。元洋野町消防団副団長の野田公則さん(76)=同町種市=は「揺れが激しくて飛び起きた。早朝だったので、津波が来ないと知って心底安心した」と胸をなで下ろした。

 八戸市下長4丁目の建設業男性(54)は震災に加えて、現在も復旧が続く能登半島地震を想起した。「また大きな地震が来るのではないかと不安。夜が明けたら非常食などを買いに行こうと思う」と防災意識を高めていた。

【写真説明】
地震発生を受け、運休列車を知らせる看板が設置されたJR本八戸駅の改札前=2日午前10時10分ごろ
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