【体験記・防災に女性目線を】立場違えど熱意は同じ 「いざ」に備え力養う

【体験記・防災に女性目線を】立場違えど熱意は同じ 「いざ」に備え力養う

 八戸市で開催中の「女性防災リーダー育成プログラム」(一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと主催)には、同市や近隣市町村などから31人が参加している。年齢や職業はバラバラだが、いざという時に身近な人を守れる能力を身に付けようと、熱意を持って講座に臨んでいる。

 八戸市の高齢者施設に勤務する種市桂子さん(61)が防災に関心を持ったきっかけは、東日本大震災だった。停電した施設内で入所者の安全を守るために奔走。「高齢者の命を守るための知識が必要だ」と実感し、後に防災士の資格を取得した。女性防災士の割合は男性に比べて少ないといい、「女性が発信した方が伝わることもある。もっと女性の力が必要だ」と強調する。

 遠方からの受講生もいる。さいたま市の菅原英子さん(65)は、退職後に地域活動を始め、同市の防災アドバイザーも務める。地域みらいねっとの小山内世喜子代表の講話を聞き、「防災にジェンダーの視点を取り入れることが重要だ」との内容に感銘を受けた。毎回、始発の新幹線で来八して講座に参加。「座学だけではなく行動につながる実践的な内容で、遠くからでも来る価値がある」と笑顔を見せる。

 三沢市議会議員の春日洋子さん(69)は、青森市で実施した昨年度の講座に続き2度目の参加だ。地域防災の必要性をはっきりと認識したのは、やはり東日本大震災。友人・知人の家が浸水被害を受け、津波が身近な脅威であると痛感した。「災害時に地域のリーダーとしてどう動けるのか、常に考えている。前回参加できなかった講座もあり、改めて実践力を身に付けたい」と意欲を語った。

 このほか、各地域の消防クラブや自主防災会の会員、自治体職員や看護師ら多様な立場の女性が参加しており、会話を通じてさまざまな知見を得られることも楽しみの一つだ。

 プログラムは4月から7月にかけて実施。リーダーとして必要な対話スキルの講習や、多様性に配慮した避難所運営訓練、宮城県の被災地視察などを通じ、「誰一人取り残さない地域防災」に必要な知識と技術を身に付ける。仲間と共に学びを深め、ネットワーク作りにもつなげたい。

【写真説明】

初回の講座で自己紹介する参加者。さまざまな立場の女性と交流できる点も楽しみの一つだ=4月上旬

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