八戸市総合防災訓練が26日、湊地区で行われた。今回は市手をつなぐ育成会(川村暁子会長)と協力し、特別な配慮を必要とする障害者らを対象に開設される福祉避難所への移送訓練が本格実施され、関係者が有事の対応を確認した。
市内で震度6強の地震を観測し、建物の倒壊や火災が発生、ライフラインにも甚大な被害が生じた中で、大津波警報も発令された―と想定。地域住民をはじめ医療関係者や自衛隊、ライフラインを担う企業などから約1200人が参加し、避難誘導や避難所運営などに取り組んだ。
福祉避難所への移送訓練には、育成会の会員家族10組が参加。一般避難所として開設した想定の湊公民館で、市職員が要支援者と保護者に対して▽障害の程度▽服薬や医療機器、補装具の有無▽必要な配慮―などを聞き取り、福祉避難所への移送優先度を判定。1組は実際に、福祉避難所となる施設まで移動した。
自閉症の息子(26)と一緒に参加した、市内の女性(56)は「子どもが心配で、災害時の避難には2倍の不安を感じていたが、実際の流れが分かって良かった。不安が半減したようだ」と安堵(あんど)の表情。「障害者は訓練参加自体のハードルが高いが、体験することが重要だと実感した」とし、機会の広がりに期待した。
市福祉政策課の担当者は「当事者を交えての訓練となり、実効性が高まった。有事の際によりスムーズに運営できるよう、参加者の意見を参考にしたい」と話した。
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